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バリアフリーへの旅 文・masa
ついにセレモニー開始!

13時33分。セレモニー開始。予定から約30分ほど遅れて、司会の恩田さんが話し始める。スタッフや周りの人々、みんなの間に微笑みが浮かび、なごやかな雰囲気で始まった。いよいよタロさんが近くまでやってきたようだ。

「同じ人間なのに、健常者と障害者、日本人と韓国人、さまざまな理由の壁によって、私達は分断されています。」

と、自らその壁を乗り越えることによって、人と人、思いと思いとを結びつけたいというタロさんの思いと、この「musubu」の企画のことが語られ始める。

また、韓国の民族衣装を身に纏ったmusubu実行委員会事務局長、安鎮淑(アン・ジンスク)さんと、musubu実行委員の岡村道夫さんからは、タロさんが車椅子の生活になった経緯や、この旅の道のりと活動、今回、韓国人と日本人が協力していくことの大変さ、それでも今後、その他の国の人たちも結びつけていきたい、人々が平等に活動できるような社会をつくっていきたいという思いが語られた。

思いはどんどん膨らんでいく。

タロさんが出発した時の映像が映し出される。そして、強風に揺れるモニターを、スタッフが後ろで必死に支える。そんな風と明るさのせいで、映像はとても観にくかったが、みんなの声援を受けて走っているタロさんが、とても嬉しそうにしている様子だけは、しっかりと伝わってきた。56日前に動き出した「musubu」旅。

その姿を見て、やはり本人が来ないと始まらないなと思ったちょうどその時、その気持ちを察したかのように、恩田さんの声が響いた。

「だんだん、音が近づいて来たんですねぇ、お待たせいたしました。予定通り、スケジュール通り、あの男がいよいよ帰って参りました!」
江尻真樹(えじりまさき)
横浜市金沢区在住。
シンプル、純粋、透明をキーワードに、
「人がくつろぐ空間」を考える。
海と猫と、小田和正を愛する27歳。
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