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バリアフリーへの旅 文・masa
タロさん無事帰還!

13時45分。韓国の民衆的舞踊、プンムルの音が聞こえてくる。恩田さんの声に、インターナショナルゲートから続く歩道に目を向けると、日本と韓国の旗を持つ子供たちを先頭に、タロさん、横断幕、そして、プンムルの踊りがこちらに向かってくるのが見えた。

最後の道のりを、ゆっくりと、ゆっくりと、汽車道ゲートに近づいてくる。長い旅に終わりを告げるこの道は、タロさんに旅の途中のさまざまな出来事を思い出させているかもしれない。トライクの上のタロさんは、さすがに疲れた表情だ。それでも、到着の時には、みんなの出迎えに、最後の力をふり絞るかのように、笑顔を見せてくれた。

やがて、プンムルの踊りは汽車道ゲートの前で円を描きはじめる。その光景に、なんだろうと立ち止まる人たちと、立ち止まらないで通り過ぎる人たち。ロシアの報道陣の方かと思われる人が、めずらしそうにカメラを向けている。

到着したタロさんに何人かの方が話しかけると、タロさんは、帰ってきたんだなということをようやく実感したかのように、ホッとしたような明るい表情を見せた。とても嬉しそうだ。

プンムルの演奏が、少しずつゆっくりになってくる。両国の国旗を持った、両国の代表の子供たちがおじぎをする。みんなの拍手に包まれて、タロさん、56日ぶりに、9156kmの旅から無事帰還。
江尻真樹(えじりまさき)
横浜市金沢区在住。
シンプル、純粋、透明をキーワードに、
「人がくつろぐ空間」を考える。
海と猫と、小田和正を愛する27歳。
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